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2024.11.20
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独立行政法人 国際協力機構(JICA)
社会基盤部都市・地域開発グループ第二チーム インターン生 青柳 理子
社会基盤部都市・地域開発グループ第三チーム 山田 奈央子
مرحبا(マルハバン・こんにちは)! 今回はアフリカとヨーロッパ、そして中東の文化が混ざった国、チュニジアについてご紹介します。2021年にはアラブ諸国で初となる女性の首相(ナジュラ・ブーデン・ラマダン氏)も誕生し、アラブ諸国のなかでも特に民主化が進む国といわれています。そんなチュニジアの魅力、そしてチュニジアにおけるJICAの取り組みを皆様にお届けします!
チュニジアは北アフリカの先端に位置する国です。過去には、ローマ帝国、イスラム帝国、そしてオスマン帝国に支配された歴史を持つチュニジアですが、1956年にモロッコとともに当時宗主国であったフランスから独立を果たしました。
その長い歴史、そして地中海に面しているという地理的な理由から、様々な文化が混ざり合った魅力を発しています。アラブ民族が98%(外務省基礎データ)で公用語もアラビア語となっていますが、保護領であった歴史からフランス語も広く普及しています。イスラム教スンニ派の人々が多く、北アフリカ最古のイスラム建築といわれるグランドモスクをはじめ、国内では多くの美しいモスクを見ることができます。
チュニジアのGDP(国内総生産)の実に46%を占める一大産業は観光業を含むサービス業であり、まさに観光立国であることがうかがえます。国土は日本の5分の2と決して大きくはないチュニジアですが、9つもの世界遺産が登録されています。
カルタゴ遺跡やエル・ジェムの円形闘技場のようにローマ帝国の影響を色濃く残す場所から、地中海を望むアラブ都市スース旧市街、北アフリカで最初のイスラム都市といわれるカイルアンまで、一国にいながら様々な文化・建築を体験することができるのです! またチュニス駅のすぐ目の前にあるチュニス旧市街は「マグレブ諸国におけるアラブ都市文明の手本」として1979年に世界文化遺産に登録されています。
ほかにもチュニジア南部に行くと世界最大級の砂漠であるサハラ砂漠が広がり、映画『スターウォーズ』の撮影が行われたロケ地も点在しています。また青い空に白壁が映える、まるでギリシャのような地中海沿いの保存区域、シディ・ブ・サイドも外せません!
そんな魅力が国内に点在するチュニジアですが、実は国民の多くが首都、チュニス周辺に集まっているのです。
チュニス県、アリアナ県、マヌーバ県、ベンナラス県の4つからなるチュニス大都市圏には経済・社会・行政の中心であり、なんと約290万人(チュニジア全人口の4分の1!) もの人々が住んでいるといわれています。大都市圏の面積は2532平方kmと全土の16%にも満たないことから、このチュニス大都市圏に人口が集中していることがわかります。
チュニス大都市圏は、北アフリカ・中東・欧州の結節点に位置しており、チュニジア国内に限らず近隣国のビジネス・投資のハブとして経済上非常に大切な地域です。
そんなチュニス大都市圏では、近年人口が増加傾向にあり、現在は交通渋滞や環境悪化やスプロール現象(無秩序・無計画に郊外へ開発が広がってゆく状態のこと)が課題となっています。また、大気汚染の要因となる自動車の数も大都市圏内では増加傾向にあり、公共交通機関の利用者数は1990年代から大幅な減少傾向にあります。チュニス大都市圏の都市交通計画は1998年以降更新されておらず、現在の都市の状況を反映した都市交通計画の策定が必要な状況です。
そこでチュニジア政府は、交通調査や土地利用調査によるデータに基づいた「都市交通マスタープラン」を策定するために、2020年に日本にこの計画の策定のための技術支援を要請しました。
プロジェクトは来年から開始予定で、日本の強みであるDX技術(AIやビッグデータなどを用いて生活やビジネスを変革・改善するデジタル技術)を活用した交通調査やモニタリング手法が用いられる予定です。また、都市交通マスタープランが策定されることにより、持続可能な経済成長と交通渋滞や大気汚染の緩和といった環境負荷の軽減を目指しています。
JICAとチュニジアの協力体制は1975年に青年海外協力隊派遣を開始して以来、実に50年近くの歴史があります。インフラ分野の協力としては、ラデス・ラグレット橋の建設事業、ラデス発電所の建設事業、北部地域からの導水事業、スファックス海水淡水化施設建設事業、ガベス・メドニン間高速道路建設事業などが挙げられます。なかでも代表的な協力は、2010年から行われた首都圏通勤線電化計画(チュニス大都市圏内外のディーゼル車両列車の動力を電気に変える計画)です。
JICAの援助により整備され、2012年から運行を始めたA線をはじめ、首都圏の通勤列車の電化を実施することで、渋滞の緩和と大気汚染の改善に貢献しています。
チュニジアは様々な文化の交差点で、おいしい料理を堪能したり、世界遺産を巡ったりするにあたって最高のロケーションです。旧市街ではかわいい小物もたくさんあり、なかでも陶器は本当にかわいくておすすめです! チュニジアに旅行へ行く際は、ぜひ日本とのつながりにも目を向けてみてください。ローマ帝国支配下の時代から始まるその長い歴史に思いをはせて、チュニジア旅行を満喫してみてはいかがでしょうか?