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シニョリーア宮Pal.della Signoriaとも呼ばれ、建設が始まったのは1299年、設計にはA.ディ・カンビオが当たったと伝えられる。粗い切り石積みの外観は簡素で、無駄がなく理知的な感じを与える。3層からなり、上部にはゴシックの2連窓が2段に並んでいる。上に乗った歩廊は大きく外に張り出し、その下には紋章がはめ込まれ、上端はグエルフィ狭間となっている。背の高い塔(94m)が右前方に片寄って付けられ、上部のふたつの張り出しはギベッリーニ狭間(ツバメの尾形)で縁取りされている。1530年にトスカーナ公国が出現するまで、ここはフィレンツェ共和国の政庁であった。
入るとすぐにミケロッツォの設計した中庭(15世紀後半)がある。中央にはヴェロッキオの『イルカを抱くキューピッド』(コピー)の乗った小さな噴水がある。中庭の先には左右に広い階段があり、これを上がって宮殿内を見学する。
2階を占めるのは大きな「五百人広間」Salone dei Cinquecentoで、共和政時代にはここで市民会議が開かれた。クロナカが設計(15世紀末)し、天井や壁面の画面は後にコジモ1世の依頼でヴァザーリの工房が制作(16世紀後半)している。広間には堂々たる体格の青年が老人を組み敷いている彫刻『勝利』Genio della Vittoria(ミケランジェロ)があり、その向かいにはジャンボローニャの『ピサを倒すフィレンツェ』(実物はバルジェッロ国立博物館)がおかれている。広間入口の右側にある「フランチェスコ1世の書斎」Studiolo di FrancescoⅠは、マニエリズムの絵画や彫刻で埋め尽くされている。五百人広間の奥から階段でレオ10世の住居、さらにコジモ・イル・ヴェッキオの間、ロレンツォ・イル・マニーフィコの間が続く。
3階へ上がると、階段の左側にはヴァザーリが装飾した「元素の間Sala degli Elementi」などの部屋が並び、東南の角にはサトゥルヌスの回廊が設けられていて、サンタ・クローチェやミケランジェロの丘方面の見晴らしがよい。中庭の『イルカを抱くキューピッド』Putto col delfinoのオリジナルもここに飾られている。
階段に戻り、右側に五百人広間を見下ろしながら進むとコジモ1世の妃の「エレオノーラ・ディ・トレドの住居」、「緑の間」、「礼拝堂」などがある。さらに「サビーニの女達の間」、「ペーネロペーの間」、「シニョリーアの礼拝堂」などを過ぎると、「謁見の間」Sala dell' Udienzaに出る。共和国時代にはプリオリ(総督)の会議や法廷として使われた部屋で、格間天井や大理石の入口はジュリアーノとベネデットのダ・マイアーノ(1470年~)の手になる。続く「百合の間」Sala dei Gigliはかつては謁見の間に続いていたが、15世紀に仕切られた。入口とその扉に注目したい。「百合の間」に置かれたドナテッロの『ユーディットとフォロフェルヌス』Giuditta e Oloferne(オリジナル)は共和政のシンボルでもある。「地図の間」はコジモ1世の命でヴァザーリが設計した物で、地理や航海術などに対するコジモの興味がうかがわれる。
フィレンツェの象徴ともいえるドゥオーモのクーポラとお隣のジョットの鐘楼のふたつが眺められるのがヴェッキオ宮。ひときわ高い塔で広々とした中世の歩廊もゆっくりできて絶景が広がる。ただし雨などで入場不可の場合あり。
塔と宮殿内部に残るローマ劇場などのローマ遺跡PercorsoArcheologico、中世の歩廊Camminamento di Rotondaは共通切符で自由に見学できる。
博物館のみ:€12.50
塔+中世の歩廊+博物館:€17.50
塔+中世の歩廊+博物館+ローマ遺跡:€19.50
※6歳以上。塔は雨天の場合閉場の場合あり
※切符売り場は中庭奥。正面右、道路側にも入口あり。閉館1時間前まで
2024年1月現在
・当日窓口で購入
→ピーク時には1時間ほど並ぶことも。
切符売り場は中庭奥。正面右、道路側にも入口あり。閉館1時間前まで。
・オンラインで事前日時指定予約
→オンライン購入サイト※英語のみ
・フィレンツェカードを利用
→専用窓口「infoPoint」から並ばずに入場可能