インドの知られざる遺跡群、バテシュワール寺院を訪ねて
2023.5.26
キーワードで検索
執筆者:中村 豪紀
2019年からアイ・シー・ネットで勤務ののち、2020年より、在ラオス日系法人PTP株式会社にて勤務。アイ・シー・ネットが海外展開をする学研教室ラオスのマスターフランチャイズ代表として、日本式の算数教育をラオス各地で展開しているほか、主に日系企業対してのコンサルティングや、学生を対象にしたスタディーツアー事業なども請け負う。ラオスの魅力に取りつかれており、過去にはバイクでラオスを縦断するなど、時間を見つけては新しい魅力を開拓中。
ラオスでは4月中旬の約1週間は旧正月にあたり、現地では“ピーマイ”と呼ばれます。この時期は会社や学校もほとんど休みに入り、各地で水かけ祭りや音楽フェスなどが催され国全体でお祝いします。浮かれている一方で喧騒が苦手な筆者は、毎年この時期は都市ではなく地方でのんびりと過ごすことにしています。今年は、首都ビエンチャンから世界遺産の街ルアンパバーンを経由し、北部の秘境と言われるノーンキヤウとムアンゴイのふたつの村を訪れました。
最初に目指すノーンキヤウはラオス北部に位置し、首都ビエンチャン方面からは世界遺産の街ルアンパバーンを経由してそこから陸路で向かうのが最も一般的なルートになります。
今回はルアンパバーンまでは高速鉄道で向かい、一泊後目的地に向かうことにしました。この鉄道は「中国ラオス高速鉄道」と呼ばれ、2021年に中国の一帯一路政策のひとつとして開業しました。それ以前はビエンチャンからルアンパバーンへの陸路移動は10時間以上かかるような長丁場でしたが、2時間少しで簡単にアクセスできるようになりました。
くつろいでいるうちにあっという間にルアンパバーンに到着です。世界遺産ということもあり、市街地はラオス人、外国人観光客の熱気に包まれ、メイン通りでは爆音の音楽のなか水をかけ合っていました。先述の通り、人混みが苦手な筆者は早々とホテルに引き上げのんびりと過ごしました。
翌日は早朝からノーンキヤウに移動です。ルアンパバーンからノーンキヤウへは、通常乗り合いバスで3~4時間ほどですが、今回はピーマイ期間中ということで営業しているバス代理店を見つけるのに苦労し、ルアンパバーン市内を数点訪ねて回ってようやくチケットを確保しました。チケットは片道15万キープ(約1100円)でした。バスはラオスの主幹道路である国道13号線をまっすぐ北上し、その後パークモンという町で東に進路を変え、ノーンキヤウに向かいます。
ノーンキヤウに到着すると、ルアンパバーンとは打って変わって、ピーマイ期間中とは思えないゆっくりとした時間が流れていました。ノーンキヤウはメコン川の支流であるウー側沿いに立ち並ぶ落ち着いた田舎街です。観光客の数もまばらで、基本的に地元の方々が思い思いにピーマイを満喫していました。筆者も、道を歩いていたところ地元の10人ぐらいの若者グループに声をかけられ、しばし水かけ祭りに加わりました。
都市部では水鉄砲などで水を掛け合うことも増えましたがここは田舎。主な武器は桶とホースになります。ビールを片手に道行く人、バイクや車に水をかけ続けるのですが、小さな村のため通りかかる人はほとんど知り合い同士のようで、この祭りは村人同士のいいコミュニケーションにもなっているように感じました。
ちなみにこの水かけ祭りに使われる大量の水ですが、必ずしも衛生的なものとはいえません。手に持ったビールにもジャバジャバ水が入ってくるのでのちの腹痛を覚悟しましたが、幸いなんともありませんでした。
ノーンキヤウで今回宿泊したのは「Nong Kiau Riverside(ノーンキヤウリバーサイド)」というウー川沿いに建つ絶好のロケーションのバンガローです。
部屋はすべて独立した木製のバンガローで、清掃も行き届いており快適に過ごすことができます。特に広めのバルコニーからの眺めがすばらしく、筆者は今回ここで2泊しましたが、ビールやコーヒーを片手にぼーっと川を眺めながら過ごす時間はなんともいえない贅沢なものです。
ノーンキヤウでの時間を満喫後、次のムアンゴイに向かいます。ノーンキヤウからムアンゴイまでは、小型のボートでウー川を上る行き方が一般的で、20km弱の距離を1時間から1時間半ほどかけて移動します。
ちなみにこれらの村は一応陸路でも繋がっているのですが、険しい山道の悪路を通るため、現在でもボートが主流の手段です。ボートから見える山、川、時おり見える水牛の群れなどの自然や、小さな村々などの景色もとても情緒があり、飽きずに楽しむことができます。
ムアンゴイはアクセスの難しさもあり、ノーンキヤウよりもさらに素朴で、ラオスの原風景のような景色が味わえる村です。5分ほどで歩き切れてしまうメインストリートにはレストランやゲストハウスなど、観光客に必要な施設もひと通りそろっていますが、村には家畜の鶏や豚、犬などが放し飼いになっており、軒先でおしゃべりする地元の方々や走り回る子供たちなど、観光地化されすぎていないローカルな雰囲気が旅行者をひきつけます。
とはいえ、少し前まで電気も通っておらず、舗装されている道路もなかったこの村も、今では電気も通りメインストリートは綺麗な舗装路になっていて、だんだんと近代化が進んでいるように感じました。
この村から少し足を延ばすと滝や少数民族の村などもあり、それらも旅行者に人気ですが、筆者はやはりのんびり過ごすことが性に合っています。またまたゲストハウスのバルコニーでビールやコーヒーを片手に、自然の雰囲気を楽しみながらのんびり過ごしました。
実は筆者は、今回のノーンキヤウ・ムアンゴイは過去にも数回訪れたことがあるのですが、毎回行くたびに、インフラ面が整って発展していっている様子を感じています。そこで生活する方々にとってはすばらしいことですが、旅行者にとって「秘境」と呼ばれるものもう長くはないかもしれません。ルアンパバーンからのアクセスも悪くないので、興味のある方は早めの訪問をおすすめします。
監修:地球の歩き方
アイ・シー・ネット株式会社では、新興国・途上国150ヵ国以上で社会課題の解決を行っています。下記のサイトで事業内容を紹介していますので、ぜひご覧ください。