特集「トラベルハック2026」
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スーツケースを購入する場合に重視すべきことは何だと思いますか? サイズとデザイン、予算はもちろん、自身の旅行スタイルに合っているかどうかも重要です。自分の旅に合うスーツケース選びは、どのように行えばいいのでしょうか。海外旅行の際の、行き先や旅行形態を重視した、おすすめ製品の選び方をお教えします。
スーツケースは多くの荷物を、効率よく安全に運ぶための道具。日数が増えれば着替えも増えるので、より大きなスーツケースが必要になります。しかし、サイズと重量が増すほどに、取り回しが難しくなり、場合によってはやっかいな「お荷物」になってしまうかもしれません。
一般的には旅行日数をベースにサイズ選びを行い、次いで機能やデザイン、予算を絞り込んでいく選び方が推薦されています。せっかくスーツケースを購入するのであれば、後々も使いやすいものを選びましょう。次の旅で使う予定しかないのであれば、新規に購入せず、レンタルするという方法もあります。
国内旅行やほかのデスティネーションへの旅でも使いやすい、自分の旅スタイルに合ったものを選べば、そのスーツケースの出番は増えます。高価なスーツケースを購入したとしても、結果的にお得に使うことができます。
添乗員や現地係員が案内してくれるパッケージツアーに参加するなら、スーツケースのサイズを気にする必要はありません。現地では部屋の前まで運んでもらえる可能性が高いからです。
しかし、個人旅行や部分的な送迎しか付いていないセミパッケージのような旅の場合は、自身で荷物を持ち運ぶ必要があります。少しでも軽く、小さめのサイズを選ぶのが正解です。まずは日数別におすすめサイズをご紹介します。
2~3泊の旅なら、30~60Lの容量を目処に選びましょう。高さ×幅×奥行のサイズで示すと、以下のような大きさのスーツケースです。普段から短めの旅程で頻繁に旅をするなら、機内持ち込み可能なスーツケースを第一候補にするとよいでしょう。
4~5泊の旅であれば、容量60L程度のサイズが最適。カップルでリゾート地を訪問するのであれば、機内持ち込みも可能な30L程度のスーツケースと、大きめの80L程度のスーツケースを1個ずつ使うという方法もあります。
1週間以上の旅でも、個人旅行であれば60L程度のスーツケースに収まるように荷造りするのがおすすめ。ときどき洗濯することで、下着類などの数量を抑えることができます。
パッケージツアー参加や移動の少ないリゾート滞在なら、80Lを超える容量でもよいでしょう。その場合は重量オーバーしないように注意しましょう。
無料で預け入れ可能なサイズは3辺の合計が158cm以内という航空会社がほとんどで、容量は100L近くあります。大きなスーツケースは本体が重い(4~5kg)うえにたくさんの荷物が入るので、総重量は20kg近くになるでしょう。エレベーターが利用できればさほど問題はありませんが、機材故障や工事によるルート変更で、階段を上り下りする可能性は常にあります。20kg近くの大きなスーツケースを持って、自分で階段の上り下りができるかどうかを想像してみてください。最大サイズ選びのひとつの基準となります。
スーツケースの素材は大きく分けてハードタイプとソフトタイプに分けることができます。ハードタイプは水濡れに強く、色つやのよいデザインの商品があります。ソフトタイプは軽量な製品が多いものの、水濡れに弱く、汚れが落ちにくいというマイナス面があります。
ハードタイプスーツケースの一般的な素材は、ポリカーボネートやアルミニウム合金、ポリプロピレン、ABS樹脂など。素材の違いは、重量や丈夫さ、コストに影響を与えます。丈夫で軽いという点では、ポリカーボネート素材の製品がおすすめです。
ソフトタイプ製品には、ナイロンやポリエステル素材が使われています。気に入ったデザインの商品が見つけられれば、ソフトタイプのスーツケースを積極的に選んでもよいでしょう。
商品のバリエーションはハードタイプに比べて少なく、両開きにできないので、荷物の出し入れを行う際は、下の荷物を取り出すために上部の荷物を出さなければなりません。一方で、両開きにしなくても荷物の出し入れができるため、狭いスペースでは使いやすいというメリットも!
セキュリティ面や頑丈さから考えると、ハードタイプのスーツケースを選ぶのが正解と思われるかもしれません。しかし、ハードタイプのスーツケースでも壊れるときは壊れます。
スーツケースの耐久性は、カタログスペックや店頭では推し量ることができません。大手ブランドは、自社製品にどのような耐久性試験を施しているか、壊れにくくするためにどのような工夫を行っているかを紹介しています。繰り返し使う可能性が高いのであれば、耐久性に優れ、修理保証期間の長い商品を選ぶことをおすすめします。
スーツケースの開閉タイプはファスナー式とフレーム式の2種類があります。軽量タイプのスーツケースのほとんどはファスナー式を採用。一方で、金属製や30年近く前に販売されていたスーツケースでは、フレーム式が使われています。
丈夫さと防犯性を第一に考えれば、フレーム式のほうが有利ですが、スーツケースの重量が重くなってしまいます。特にこだわりがなければ、ファスナー式を選ぶのが無難です。
サイズや素材について説明しましたが、機能的にはどんな違いがあるのでしょうか。7つの注目ポイントをご紹介します。
スーツケースで最も壊れやすく、持ち運びの快適さにも影響するのがキャスター。大きく分けて2輪と4輪の2種類があり、タイヤがダブルになっているタイプもあります。
軸芯にボールベアリングを用いたり、HINOMOTO製のキャスターを採用したりして、差別化している製品もあります。また静音性に優れた製品も人気です。
2輪は、4輪タイプに比べて露出部分が少ないので、壊れにくいといわれています。また可動部分は2輪だけなので、立てれば動きません。しかし、車輪が固定されているため、小回りは苦手。向きを変える際には、持ち上げて方向を変えるか、大回りする必要があります。
使い勝手がいいのは4輪タイプで、その場ですべての方向に向きを変えることができます。タイヤ部分がダブルになっている商品もあり、1輪あたりの荷重が小さくなります。ダブルタイプの4輪キャスターのほうが有利にも思えますが、固い床面を移動するならシングルでもダブルでもそれほど使い勝手に差はありません。シングルタイプはより丈夫に、軽く作ることができる利点があります。
両開きのスーツケースの場合、最もシンプルな内装は片面を全面的に覆い、もう片面をクロスベルトで押さえるスタイルです。
シンプルで使いやすいのは、両面を覆うスタイル。クロスベルト側の荷物は、こぼれやすいですが、両面が覆われていれば、こぼれ落ちることはありません。片面はメッシュでもう片面は透けて見えないタイプもあります。
荷物が少なくてもしっかり固定できる仕組みとして、RIMOWA社が特許をもつ「フレックス ディバイダー」もあります。
荷物が少ないときは、ベルトを締めることで、仕切り板(ディバイダー)を下げて、荷物を固定できる仕組みです。内装としてはベストのスタイルだと思いますが、ベルトと仕切り板の分だけ重量が増します。
4輪タイプのスーツケースは、傾斜があったり乗り物が動いたりすると、荷物が移動してしまいます。しかし、ストッパーがあればそれを防ぐことができます。公共交通機関を使って移動するときに便利な機能ですが、万全ではありません。ストッパー機能があったとしても、荷物から手を離さないようにしましょう。
ハードタイプのスーツケースでも、ファスナーを開けることで幅を広げ、スーツケースの容量を増やすことができる製品があります。お土産などの荷物が増える復路で使うのに便利な機能です。ただし、機内持ち込みサイズのスーツケースの場合、容量を増やすと機内持ち込み可能なサイズをオーバーするため注意が必要。また、スーツケースの重量も可変部(ファスナーと布地)の分だけ重くなります。
ハードタイプのスーツケースのオプションです。スーツケース上部が部分的または全面的に開けられるようになっていて、書類やパソコンなどを手早く出し入れすることができます。パソコンや資料をすぐに取り出すシーンの多い、ビジネス旅行に適している機能です。
フロントオープン機能を選ぶ際は、ハードタイプの場合は、真ん中からも開閉できる製品かどうかを必ず確認しましょう。「フロントオープンも可能」ではなく、「フロントオープンのみ」の製品もあるからです。
スーツケースの引き手(伸縮ハンドル)は2本ある製品が大多数ですが、超軽量タイプのスーツケースではT字型が採用されている製品もあります。通常使用の範囲では、耐久性にも問題を感じませんが、伸縮ハンドルにサブバッグを固定する場合には、T字型は不便です。
スーツケースとともにサブバッグを使うことが多いなら、T字ではなく2本タイプの伸縮ハンドルの機種を選びましょう。
ハードタイプのほとんどは3桁のダイヤル式ロックを採用しています。ソフトタイプの場合は、南京錠でロックできるリングが付いたファスナーもあります。最近の製品のほとんどが対応していますが、TSロックが付いたものを選ぶようにしましょう。
以前はTSAロックと呼ばれていましたが、現在はTS(Travel Sentry®)ロックと称されています。空港の保安職員が、特殊な鍵を使ってロックを外すことができる仕組みで、TSロックが使われていない場合、保安職員はスーツケースを破壊して内容物を検査することがあります。
現在はアメリカだけでなく、アジアや中近東、アフリカ、ヨーロッパなどの多くの国で利用されています。赤いダイヤモンドのロゴが目印です。
ソフトケースで使える南京錠にもTSロックに対応しているものがあるので、TSロックが付いていないソフトケースを利用する場合は、TSロック対応の南京錠を使いましょう。
機内持ち込みが可能な荷物のサイズは、多くの航空会社が、サイズ115cm以下、重量7~10kg以下という数値を採用しています。各辺のサイズや重量、適用される荷物の種類は、各航空会社が細かく定めています。頻繁に利用する航空会社があったり、次の旅で搭乗予定の航空会社がわかっていたりするなら、必ず規定を調べておき、規定サイズに収まるように注意しましょう。多くの航空会社が個数と合計で重量何kgまでという、制限を設けています。
規定サイズを確認する際、日本からの国際線だけでなく、乗り継ぎ予定の航空会社のルールも確かめる必要があります。乗り継ぎの航空機の規定サイズをオーバーすると、機内には持ち込むことができないからです。
次に重視すべきは荷物を入れたあとの重量。機内持ち込みの荷物は、自分自身で収納できることが条件となっています。キャビンアテンダントは、保安要員として搭乗しているので、搭乗客のスーツケースの上げ下ろしを手伝う義務はありません。
実際には、周りの乗客が手伝ってくれる可能性もありますが、重いスーツケースを頭上ロッカーに収めるのは想像以上にハード。自分の目の高さよりも上に位置しているロッカーに荷物を入れる可能性を考えて、スーツケースを機内持ち込みするかどうか判断する必要があります。
通路側の席を予約している場合、機内への案内順が遅くなり、搭乗したときには座席上の頭上ロッカーに空きがなかったなんてことも……。頭のすぐ上のロッカーに荷物を収納するのは、意外と難しいことを意識しておきましょう。
機内持ち込みにするときのもうひとつの注意点として、座席の場所によっては、頭上ロッカーが使えないことがあります。足元が広々と使える非常口脇の席を予約したときは、そもそも頭上にロッカースペースがなく、少し離れたロッカーに収める必要がありました。頭上ロッカーを利用するなら、最前列や最後列の座席は選ばないほうがよい場合もあります。
旅行スタイルによって、使いやすいスーツケースの特徴は異なります。キャリーケースと呼ばれることもありますが、スーツケースとの違いはほとんどありません。ここからは、海外旅行のスタイル別おすすめ製品の特徴を解説します。
パッケージツアーの利用がほとんどであれば、容量が80Lを超える大型のスーツケースを選んでも問題ありません。ただし、3辺の合計が158cm以内、重量は20~23kgに収まるよう、注意する必要があります。ハードタイプで4輪キャスターの製品を選びましょう。
個人旅行が中心の場合は、少しでも軽く、体積の小さなスーツケースを選ぶのがおすすめ。都市部の旅行ならそれほど不便を感じることはないと思いますが、自分で荷物を持ち運ぶことを考えた場合、荷物は少しでも軽くすべきです。スーツケースの重量を軽くするためには、シンプルな構造のスーツケースを選ぶのが正解。機能が増えれば、それだけ重量が増えることになるからです。
ビーチリゾート滞在が多い場合は、急な降雨に遭遇する可能性もあるので、ソフトタイプ(布製)ではなく、ハードタイプのスーツケースを選びましょう。航空機への荷物積み下ろしの際に、土砂降りの雨に見舞われる可能性があります。
鉄道やバスなどの公共交通機関を使った移動が多い場合は、最大でも60L程度のサイズに収めることを強くおすすめします。空港発着バスや、長距離を移動するバスは、荷物室に余裕がありますが、鉄道移動の場合は意外と荷物の置き場に困ります。
鉄道大国のスイスでは、座席と座席の間のスペースにスーツケースを置くことができる車両もありますが、奥行きが25cmを超えるサイズでは収まらない場合があります。
大型バスを使う宿泊タイプのツアーなら荷物の大きさを気にする必要はありませんが、ミニバスを使うツアーの場合は、1週間近くの旅程でも30L程度のスーツケースしか載せられない場合があります。荷物室が小さいためです。手荷物の制限については、ツアーの旅行条件やQ&Aに記載されているので、ツアーを申し込む前に確認しましょう。
筆者はヨーロッパを訪問することが多く、2週間を超える旅程もたびたびありました。撮影機材(カメラやバッテリー、パソコン)も持っていくので、持ち運ぶ荷物の総重量は30kg近くに及びます。場所によっては荷物を持って階段の上り下りを行うこともあるため、持ち運びが可能なぎりぎりの重量に収めていますが、それでも苦労したシーンをご紹介します。
スイスの首都ベルンと、グレッシャーエクスプレスの途中駅(フィリズール)の宿に泊まったときのこと。両方ともシングルルームを予約していましたが、どちらも部屋は最上階の屋根裏部屋でした。古い建物でエレベーターはなく、4階の部屋までスーツケースを抱えて上るのは、たいへんな苦行でした。
また、サン・モリッツで泊まった宿は、滞在中にエレベーターが故障しており、荷物の上げ下ろしに苦労しました。
オーロラが見られる2月、北欧の北極圏を訪問したときのこと。スウェーデンからノルウェーまで鉄道を使って北上しました。オーロラ観測のために途中下車しながら、徒歩で宿に向かいましたが、スーツケースを引きながら雪道を歩くのは、簡単ではありませんでした。
スイスのグレッシャーエクスプレスに乗車したときのこと。出発時刻より早めに乗車したのに、一番下の荷物棚はすでに埋まっており、真ん中の棚に載せる必要がありました。狭い車内でスーツケースを抱え上げるのはなかなかの作業でした。
スーツケースを長持ちさせるには、各部分に無理な負荷がかからないようにする必要があります。扱い方の具体例をご紹介します。
4輪キャスターのスーツケースは、2輪でも走行可能で、メーカーの商品イメージ写真でも、2輪走行のカットが使われています。しかし、4輪キャスターを2輪走行させると、その2輪と引き手(伸縮ハンドル)に負荷がかかり、早期に不具合を招く原因となります。路面状態が悪いと2輪にして引いて歩きたくなりますが、4輪走行を意識しましょう。
ちょっとした段差を乗り越えるときや乗り物の乗降の際、引き手(伸縮ハンドル)を持ってしまったことはありませんか? スーツケースで壊れやすい部分ワースト3のひとつが、この伸縮ハンドル。持ち変えるのが面倒と思われるかもしれませんが、強度を計算して作られている、本体のハンドルを使うようにしましょう。
特に、乗り物の乗降の際に注意が必要です。少しの隙間だからと、そのまま動かそうとすると、隙間にキャスターがはまってしまう危険性があります。無理な角度のまま動かすと、キャスターの破損につながります。
ひとりで複数のスーツケースを持ち運ぶような場合、移動ルートによっては、ハンドルやキャスターに負荷がかかるような持ち方になってしまうかもしれません。空港なら手押し式のカートが使えるため、荷物の個数が多いならカートに載せて運んでしまいましょう。
預け入れ荷物を受け取ったら、まずは預けた荷物に異常がないかどうか確認しましょう。修理や買い換えが必要な不具合が生じていたら、航空会社に申し出て書類を作成してもらわないと、保険が使えない可能性があるからです。
荷物が無事でも、自宅に戻ったら汚れを落とし、キャスター部分も掃除しておくのがおすすめ。保管の際は、湿気がこもるような場所には置かないようにしましょう。プラスチック部品が加水分解でべたべたしたり、ひび割れたりするのを防ぐためです。
スーツケースを選ぶには、いろいろな要素を考える必要があり、なかなか決められない方もいるのではないでしょうか。「どれがよいかわからない」と思ったら、いったん頭をリセットし、シンプルな製品を見直しましょう。容量が不足していても、サブバッグ(パッカブルバッグ)を使えば、30L近くの荷物を入れることができます。
この条件で探せば、軽くてしっかりした製品に出合える可能性が高まります。多機能になれば、重くなるし内部の収納スペースが圧迫されます。小分け袋に入れた荷物を収まりよく出し入れできるのが、使いやすいスーツケースです。
スーツケース選びで最も大切なことは、「自分の旅スタイルに合っていること」と「これからもずっと使えること」。迷ったら少しでも軽く、機能のシンプルな製品を選びましょう。「軽いは正義」です。
オンラインでもさまざまな製品を比較して購入できますが、時間の許す限り店頭で現物を確認し、納得のいくものを選ぶことをおすすめします。ショップスタッフとのやりとりのなかで、自分が必要とする機能に気付くこともあります。