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ここには、印象派の画家のなかでも、最も光の変化を追求したモネの大作『睡蓮Nymphéas』が8枚ある。第1次世界大戦の勝利を記念して、フランス国家に寄贈されたもので、80歳近いモネが白内障を克服して完成させた力作だ。オランジュリー美術館は、『睡蓮』のために、内部を改造して作品を待っていた。死後、一般に公開されることを、モネが望んだからだ。彼は、1926年に86歳でこの世を去るまで、最後の仕上げに力を尽くした。
このほか、146点の作品が展示されているが、これらは、画商ポール・ギヨームとその妻、彼女の2番目の夫ジャン・ヴァルテールによって寄贈されたもの。コレクションを作品数順に挙げると、ドラン、ルノワール、スーティン(20点以上)、セザンヌ、ピカソ、マティス、ユトリロ(10点以上)、アンリ・ルソー、ローランサン、モディリアニ(5点以上)、それにモネ、シスレー、ゴーギャン、ヴァン・ドンゲンが加わる。印象派からフォーヴィスム、キュビスムを経て1930年までのパリ派にいたるという、まさしく「芸術の都、パリ」時代の作品だ。
ふたつの楕円形からなる大広間の壁いっぱいに、8点の作品が掲げられている。2001年から6年間に及ぶ大改装工事により、「睡蓮の間」は天井から自然光の降り注ぐ空間に生まれ変わった。鑑賞者はあたかもモネのジヴェルニーの庭に招かれ、きらめく水辺を歩いているような気分になる。
『睡蓮』の原語タイトルは"Nナンフェアymphéas"。サンスクリット語に語源をもつnénupharという仏語男性名詞を、モネが、ラテン・ギリシア語化した女性名詞に変えて、絵のタイトルにしたものだ。ナンフェアとはニンフ(ギリシア神話に登場する妖精)の意。特に水の精を表し、若く美しい女性や花嫁はよくニンフにたとえられる。スイレンの花そのものが東洋生まれで神秘的なのに加えて、この詩的なタイトルは、鑑賞者をさらに深遠な世界へと導いてくれる。
チケット購入方法は以下になります。※2024年1月現在
●オランジュリー美術館公式サイト(英語)で入場時間指定の入場チケットを事前購入
●パリ・ミュージアムパスを購入
→パリの主要美術館を巡る場合にお得になる
→パスで入場の際には事前に時間指定予約が必要
●窓口でチケットを当日購入
→30分くらい並ぶことも