イギリス国会議事堂 (ビッグ・ベン)

更新日
2023年2月10日
公開日
2022年10月20日
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テムズ河畔にそびえる時計台ビッグ・ベンBig Ben(正式名エリザベス・タワー)と国会議事堂、そこは世界の模範となる議会政治が生まれた所。その歴史の重みもさることながら、建造物としても最高級、芸術的とさえいえる。照明を浴びて闇のなかに浮かび上がるその姿を、ぜひ対岸から眺めてみよう。とにかく美しい。そこで政治家たちの陰謀が渦巻いているなどと、誰が想像できるだろう。
国会議事堂は、正式名をウェストミンスター宮殿The Palace of Westminsterという。1090 年、ウィリアム征服王William theConqueror の時代に完成。審議の場として使われ始めたのは13 世紀頃。1834 年の大火災でその大部分が失われ、名建築家チャールズ・バリーCharles Barry の設計によりゴシック様式の風格ある建物によみがえったが、それも第2 次世界大戦で再び被害を受けた。現在のものは3 代目。その間、唯一生き延びてきたウェストミンスター・ホールは、オークの梁が見事な屋根の重さが約600t、現在の広さは73m×21mで、王家の式典などの会場になることも。
テムズ河に沿って全長約300m、部屋数1100、廊下は合計約3.2km、階段約100 ヵ所、中庭11 ヵ所。上院 The House of Lords、下院 The House of Commons、どちらの審議室も、ギャラリーを含めても小さな体育館ほどの広さ。審議は前もって用意した演説の場ではなく、討論の場であるという信念から、審議に熱中できる大きさを尊重しているとのこと。そのため、下院は在職議員659 名に対し437 席しかなく、席にあぶれる議員も。議員を統括して議会を進めるスピーカーと呼ばれる議長がいる。近年は、大規模修復やネズミによる獣害対策も必要とされ、ビッグ・ベンなど工事中の部分も多い。

ロンドンのシンボル時計台ビッグ・ベン

建築担当者ベンジャミン・ホール卿Benjamin Hall の名に由来しており、もともとは鐘だけにつけられた名。1859年5月31日に最初の時を告げ、15分ごとに鳴り響く「ウェストミンスター・チャイム」と呼ばれるビッグ・ベンの音は、日本の小学校のチャイムと同じメロディなので、なじみ深いのでは? この鐘は、15分ごとに4つの小さな鐘が鳴
り、1時間ごとに約13.5t の大きな鐘が鳴るのだそう。

国会議事堂の見学ポイント

写真

  • 2019年9月現在、ビッグ・ベンは工事の足場に覆われている(22年11月に改修工事は完了した)
  • 国会議事堂前にあるオリバー・クロムウェルの像
  • ハウス・オブ・コモン(下院)上院に比べて飾り気のない議場で、通路を挟んで向かい合って座席が並ぶ。議員数に比べて席数が少ないので、階段や手すりに腰をかける議員もいる。©VisitEngland/UKParliament
  • ウェストミンスター・ホール11世紀に建てられ、現在の姿は14世紀末頃のもの。1834年の大火災で唯一消失を免れた部分で、木造で架けられた梁天井が見事。かつては裁判所として使われ、サー・トマス・モアやガイフォークスらが、ここで裁判を受けた。©VisitEngland/UKParliament
  • セントラル・ロビー八角形のロビーでは19世紀の政治家たちの彫像が出迎えてくれる。文字通り中心に位置しているため、議員たちの待ち合わせや取材などにも使われる。©VisitEngland/UKParliament
  • ハウス・オブ・ローズ(上院)聖職者や貴族などで構成される上院の議場。下院に比べて、赤の座席と金の装飾が豪華な印象。女王が国会開会宣言を読み上げる天蓋付きの玉座もある。写真:robertharding/アフロ
  • ロイヤル・ギャラリー上院議員たちの休憩にも使われ、左右にはウォータールーとトラファルガーの戦いの絵がかけられている。歴代君主、妃たちの像や肖像画も飾られた長い通廊。©VisitEngland/UKParliament
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