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テムズ河畔にそびえる時計台ビッグ・ベンBig Ben(正式名エリザベス・タワー)と国会議事堂、そこは世界の模範となる議会政治が生まれた所。その歴史の重みもさることながら、建造物としても最高級、芸術的とさえいえる。照明を浴びて闇のなかに浮かび上がるその姿を、ぜひ対岸から眺めてみよう。とにかく美しい。そこで政治家たちの陰謀が渦巻いているなどと、誰が想像できるだろう。
国会議事堂は、正式名をウェストミンスター宮殿The Palace of Westminsterという。1090 年、ウィリアム征服王William theConqueror の時代に完成。審議の場として使われ始めたのは13 世紀頃。1834 年の大火災でその大部分が失われ、名建築家チャールズ・バリーCharles Barry の設計によりゴシック様式の風格ある建物によみがえったが、それも第2 次世界大戦で再び被害を受けた。現在のものは3 代目。その間、唯一生き延びてきたウェストミンスター・ホールは、オークの梁が見事な屋根の重さが約600t、現在の広さは73m×21mで、王家の式典などの会場になることも。
テムズ河に沿って全長約300m、部屋数1100、廊下は合計約3.2km、階段約100 ヵ所、中庭11 ヵ所。上院 The House of Lords、下院 The House of Commons、どちらの審議室も、ギャラリーを含めても小さな体育館ほどの広さ。審議は前もって用意した演説の場ではなく、討論の場であるという信念から、審議に熱中できる大きさを尊重しているとのこと。そのため、下院は在職議員659 名に対し437 席しかなく、席にあぶれる議員も。議員を統括して議会を進めるスピーカーと呼ばれる議長がいる。近年は、大規模修復やネズミによる獣害対策も必要とされ、ビッグ・ベンなど工事中の部分も多い。
建築担当者ベンジャミン・ホール卿Benjamin Hall の名に由来しており、もともとは鐘だけにつけられた名。1859年5月31日に最初の時を告げ、15分ごとに鳴り響く「ウェストミンスター・チャイム」と呼ばれるビッグ・ベンの音は、日本の小学校のチャイムと同じメロディなので、なじみ深いのでは? この鐘は、15分ごとに4つの小さな鐘が鳴
り、1時間ごとに約13.5t の大きな鐘が鳴るのだそう。